IT業界とWeb業界には、どのような違いがあるのでしょうか。
どちらもインターネットと密接に関わりがある業界ですが、実際にはさまざまな違いがあります。
IT業界とWEB業界の違い、業務内容や職種、必要とされるスキルや年収を見ていきましょう。

IT業界とWeb業界の違いは?

IT業界とWeb業界の違いを見ていく前に、「IT」と「Web」、それぞれの意味を改めて確認しておくことにしましょう。

「IT」とは、「Information Technology」の頭文字を取った略称で、日本語では情報技術と訳されます。
パソコンやスマートフォン、その他のデータ通信機器で使われる、情報処理を目的とした技術全般をITと呼んでいます。

「Web」はもともと、蜘蛛の巣あるいは蜘蛛の巣状のものを表す単語でネットワークのことを指しますが、
現在では「World Wide Web」の略称として使われることが多くなっています。
企業などの組織内で使われる、文字や画像、音楽や動画などの電子データをやり取りするネットワーク(=イントラネット)同士を相互に接続することで巨大な(=World Wide)ネットワーク(=Web)を形成したシステムが、現在のWebです。

つまりIT業界は、情報処理を目的とした技術全般を扱う業界、と言い表すことができます。
またWeb業界は、文字や画像などの電子データをやり取りするシステムを扱う業界、と表現することができます。

それでは、IT業界とWeb業界について、さらに詳しく見ていくことにしましょう。

IT業界とは何か

IT業界とは、情報処理を目的とした技術全般を扱う業界です。
代表的なIT業界の企業としては、NTTデータ、大塚商会、キヤノンマーケティングジャパン、野村総合研究所などが挙げられます。
また、取り扱っている技術によって、ハードウェア業界、ソフトウェア業界、情報処理サービス業界、Web業界の4種類に分類することができます。

ハードウェア業界は、パソコンやパソコンの周辺機器、スマートフォンや携帯電話などの機器そのもの、また機器の中で使われている電子回路などを扱う、IT業界のベースともいえる業界です。
家電製品や自動車などにもITの活用は広まっており、さまざまな業種との関連性を持っている業界です。

ソフトウェア業界は、ハードウェアを動かすためのプログラムを扱う業界です。
パソコンでいえば、WindowsやLinuxなどのOS(=オペレーディングシステム)、パソコンにインストールして使うソフトウェア、またスマートフォンAndroidやiOS、スマートフォンに住んトールして使うアプリ(=アプリケーション)など、すべてがソフトウェア業界の扱う分野です。

情報処理サービス業界は、情報システムの企画・提案や、開発、導入・保守など情報システムに関わるあらゆるサービスを提供する業界で、SI(=システムインテグレータ)と呼ばれることもあります。
ハードウェア・ソフトウェア業界とも関連が深く、もともとハードウェアやソフトウェアを製造していた企業が情報処理サービスを提供するようになるケースも多いのが特徴です。

Web業界は、インターネットを通じて文字や画像などの電子データをやり取りするためのシステムを扱う業界です。
企業のホームページやインターネット通販、ブログなどのSNSに代表される、インターネットブラウザを通じたサービスの提供を行なっています。

Web業界とは何か

Web業界は、IT業界の一分野であるといえます。
IT業界の他の分野であるハードウェア、ソフトウェア、情報処理サービスと比べると、インターネットブラウザを通じたデータ通信を主軸としているのが特徴です。

Web業界が提供するサービスは、企業のホームページ制作、インターネット広告の制作など、主に企業を対象としたサービスと、インターネット通販、ブログ、SNSなどの主に個人を対象としたサービスに分けることができます。

IT業界とWeb業界の仕事内容の違いは?

IT業界とWeb業界は、Web業界がIT業界の一分野であることから、仕事の内容としては重なる部分も出てきます。
まずはIT業界の仕事内容を見ていくことにしましょう。

IT業界の仕事とは?

IT業界は、情報処理を目的とした技術全般を扱っている業界なので、IT業界以外の業界と深く関わっていくことになります。
IT業界の仕事内容を、分野別に見ていくことにしましょう。

ハードウェア業界では、パソコンやスマートフォンなどの通信機器、また通信機器に搭載されている電子回路などを扱っています。
家電製品や自動車も含めて、データ通信に対応している機器にコンピュータ制御できるようなシステムを組み込んでいくのが主な仕事です。

パソコンやスマートフォンが意図したとおりに動作するかどうかは、組み込まれたシステムの正確性や完成度に依存します。
このようなハードウェアに組み込むシステムの開発を担当する職種が、組み込みシステムエンジニアです。

ソフトウェア業界では、ハードウェアを動かすためのプログラムを扱っています。
ハードウェア業界と異なるのは、ハードウェア業界ではハードウェアそのものの動作を制御するシステムを開発しているのに対して、ソフトウェア業界ではハードウェアの上に乗せるソフトウェアやアプリケーションを提供している点です。

ソフトウェアやアプリケーションの開発は、プログラマが担当します。
構築するシステムによって使われるプログラム言語が異なるため、各プログラム言語の知識があることはもちろんのこと、正確なプログラムを効率良く書くための技術が必要とされます。

情報処理サービス業界では、情報システムに関するあらゆるサービスを提供しています。
情報システムの開発だけでなく、業務フローの改善のコンサルティングから情報システムを納品した後の保守・管理、業務のアウトソーシング(=外注化)までを一手に引き受けている企業もあります。

情報処理サービス業界では、先に挙げたプログラマの他、コンサルタント、ネットワークエンジニア、システムエンジニアなどが活躍しています。情報システム全般に関する知識だけでなく、顧客の業務フローのや業態などにも精通していることが求められます。

Web業界の仕事とは?

Web業界は、インターネットブラウザを通じたデータ通信を主軸とするサービスを提供しています。
Webサイトや通販サイトの構築だけでなく、運営や更新、管理まで請け負うこともあり、必要とされる職種も多種多様です。

Web業界では、制作全般を統括する役割を持つWebディレクター、デザインを担当するWebデザイナー、サイトにプログラムを組み込むWebプログラマなどが活躍しています。
IT業界に含まれる他の業界と比べて、在宅やフリーランスで仕事をしている人が多いのも特徴です。

IT業界とWeb業界、必要とされるスキル・年収は?

IT業界とWeb業界には、さまざまな職種があります。
職種によって必要とされるスキルや得られる年収は異なってきますが、どちらにも共通していえることは、ITに関する知識が不可欠だということです。
目の前の仕事に追われるだけでなく、常に最新のIT情報にアンテナを張っておくことが大切です。

IT業界で必要とされるスキルは?

IT業界で必要とされるスキルについて、職種ごとにご紹介します。

ハードウェア業界で活躍する組み込みシステムエンジニアには、組み込みシステムの開発環境やプログラム言語が特殊なため、プログラマーとしてもシステムエンジニアとしても非常に高いスキルが求められます。

ソフトウェアやアプリケーションの開発を担当するプログラマには、取り扱うプログラム言語に関する知識だけでなく、効率の良いプログラムを書く技術や論理的な思考、コミュニケーション能力などが必要です。
設計書通りにプログラムを書くだけがプログラマの仕事ではないということです。

情報処理サービス業界で活躍するコンサルタントは、顧客の業界や業態に精通していることが大前提です。
顧客企業の経営上の問題点や業務フローの弱点などを分析し、適切な解決方法を提案していくことが必要とされているからです。
そのため、コミュニケーション能力が高いこともコンサルタントの強みとなります。

ネットワークエンジニアは、ハードウェアとソフトウェアの双方に精通していることが求められる職種です。
取り扱うハードウェアやソフトウェアに関する知識はもちろんのこと、それを前提に効率よくシステムを運用していくための創意工夫も求められます。

システムエンジニアは、システム開発全体を管轄する立場であるため、幅広い視野とコミュニケーション能力が必要とされる職種です。
コンサルタントに同行して顧客を訪問する場合もあるため、各業界や業態に精通している必要があります。
またプログラマの進捗管理もシステムエンジニアの仕事のひとつです。コミュニケーション能力や対人スキルが需要になってくるでしょう。

Web業界で必要とされるスキルは?

Web業界で必要とされるスキルについても、代表的な職種ごとにご紹介します。

Webディレクターは、Webサイトの制作全般を統括する立場にあります。
顧客だけでなく制作に関わるスタッフとの円滑なコミュニケーションを図れる必要があるでしょう。
また顧客の業種や業態に精通していることで、より踏み込んだサービスの提案や構築が可能になります。

Webデザイナーは、Webサイト全体のデザインを担当します。
見た目の良さだけでなく、ユーザ目線で使いやすい、情報がきちんと伝わるデザインになっているかなど、きめ細かな配慮が必要となる職種です。
またパソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまな機器から閲覧されることを前提としたデザインを考案する必要もあり、柔軟な発想力が必要となってきます。

Webプログラマは、WebデザイナーがデザインしたWebサイトをさらに使いやすくする役割を担います。
IT業界のプログラマと同様に、取り扱うプログラム言語に関する知識や技術が必要とされます。
またWebデザイナーと二人三脚でサイトを制作していくことになるため、コミュニケーション能力も必要です。

IT業界の年収は?

IT業界とWeb業界の年収を比較するために、マイナビエージェントの「職種別平均年収ランキング」を見てみることにしましょう。
これは、2015年から2016年までにマイナビエージェントに登録した20代・30代の年収データがベースとなっています。

職種別平均年収ランキング|求人・転職エージェントはマイナビエージェント

IT業界では、システムコンサルタントの年収が一番高く、平均で610万円となっています。
以下、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーが569万円、製品開発・研究開発が542万円、パッケージ導入コンサルタントが532万円、社内システム企画・社内SEが516万円です。

トップ5職種は平均年収が500万円を超えているのが特徴といえるでしょう。
全体的に20代よりも30代の方が年収が高く、特にシステムコンサルタントやパッケージ導入コンサルタントでは200万円前後の差が出ています。
これは、コンサルタントとしての業務の経験が豊富であることが、顧客に対してアプローチしていく上で有利に働く職種であることが理由として挙げられます。

Web業界の年収は?

Web業界の年収についてもIT業界と同じく、マイナビエージェントの「職種別平均年収ランキング」を見ていきます。
Web業界の職種は、カテゴリーとしてはクリエイティブ系に分類されています。

もっとも年収が高いのはプロデューサー・ディレクターで446万円です。
以下、プランナーが445万円、デザイナーが441万円、ライター・編集・制作・校正が415万円、マークアップエンジニア・フロントエンドエンジニアが385万円となっています。

IT業界と比べると、100万円前後も年収が低いという結果が出ています。
20代よりも30代の方が年収は高く、30代のプランナーでは年収637万円となっていますが、全体的にIT業界よりも年収は低めになっているようです。

IT業界・Web業界に転職するには?

IT業界やWeb業界に転職するには、通常の転職サイトや転職エージェントを利用するよりも、IT業界あるいはWeb業界に特化した転職エージェントを利用するのがおすすめです。
どの職種も専門性が高く、また企業側も中途採用者は即戦力としての活躍を期待しているため、転職エージェントによるサポートで転職志望者のスキルや適正が明確になることにより、転職の成功率や定着率が上がるからです。

IT業界に転職するには?

IT業界への転職は、リクナビのエージェントがおすすめです。IT業界専任のキャリアアドバイザーによる親身なサポートが人気で、履歴書や職務経歴書の書き方はもちろんのこと、面接対策や自己PRの方法なども相談できます。また現在の会社を円満に退社するためのサポートもしてもらえるので、退職から転職、入社までをスムーズに進めることができます。

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Web業界に転職するには?

Web業界への転職は、Geekly(ギークリー)がおすすめです。Geeklyは、IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介会社で、クリエイティブ系の職種が多いWeb業界への転職を考えるなら、真っ先に利用を検討したい転職支援サービスです。転職希望者の職種・年齢・年収などを分析した独自のマッチングソリューションが人気で、失敗しない転職ができると定評があります。

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IT業界とWeb業界の違いを理解しておこう

IT業界とWeb業界は、どちらもインターネットと密接に関わる業界ですが、実際には職種や仕事内容に大きな違いがあります。
特にWeb業界はIT業界の一分野という位置付けなので、Webに関する仕事がしたくてIT業界に入ったらやりたいこととまったく違っていた、というミスマッチが起こりやすいので注意が必要です。

職種でざっくりと分けると、IT業界はエンジニア系、Web業界はクリエイティブ系です。
IT業界の平均年収は550万円前後、Web業界の平均年収は430万円前後となっており、約100万円ほどの差があります。

IT業界やWeb業界に転職を考える場合には、まず業界や職種の違いをしっかりと理解し、自分がやりたいことは何なのかをはっきりさせておきましょう。
IT業界やWeb業界に特化した転職エージェントを利用することで、自分のスキルや技術を把握することができます。