かつて、3Kといえば「キツイ」「汚い」「危険」といった労働条件のことで、この言葉は工事現場、建設現場の作業を指していました。
今や、それにとって代わる新3Kなるものが存在します。「きつい」「厳しい」「帰れない」といった過酷な労働条件を指しているのですが、この言葉はIT業界を揶揄したものだというのです。(新3K「きつい」「厳しい」「帰れない」の中の一つは「心を病む」が取って代わるという説もあります。)
「IT土方」という言葉も存在する通り、エンジニアは常に、劣悪な環境下で働かされるというイメージが定着していますが、実際のところはどうなのでしょうか。

業界の中でも特にキツイと言われているのは、銀行・保険などの金融系や、公共系の業務系システム開発です。これらの開発は膨大なシステムを扱うことになり、かつ社会的責任が大きい業務のため、常に大変な正確さを求められます。また、銀行系などは納期の速さも求められます。銀行間でのサービス競争が背景にあるからです。
かつてはまさに新3K「きつい」「厳しい」「帰れない」を体現した環境でした。公共系も、1つエラーが発見されたら帰宅禁止令がしかれる、ブラックな業界と言われていました。
ITは、うつが多い業界として知られています。大手のシステム開発会社には、メンタルヘルスや社内カウンセラー制度が設けられるようになりました。先述したような過酷な労働環境では、うつになっても仕方がないだろう?!というのがエンジニアの本音だったことでしょう。健康保険には「傷病手当金」という制度があり、会社員エンジニアであれば、たとえうつを発症しても休職期間中は賃金を受け取ることができます。ITはこの状態に至るケースが、他業界よりも多いと言われます。

今は改善されている

しかし、今は金融系や公共系でも、3K、ブラックだった労働環境がかなり改善されてきています。
特に金融系がそうです。リーマンショック前は、「残業月100時間超え」「毎日終電」といった超過労働が珍しくはなかったのですが、リーマンショック後、経済的打撃をもろに受けた金融業界では、いったんシステム開発の求人が激減した時期がありました。この時多くのエンジニアが失職したのです。しかしその後、メガバンク案件の多くの受注元であった日立、IBM、富士通などが、エンジニアの労働環境の改善を図りました。ちょうど世の中も、全体的に残業ゼロに向かおうとしていたこともあり、以前のような激務は強いられなくなっていきました。

ブラックではなく、今はいろいろ自由であること

リーマン前のIT業界は、納期が厳しいのに最小限の人数でプロジェクト・チームを組むという、無理のある働き方をしていました。作業の工程を組むチームリーダーをプロジェクトマネージャー(以下プロマネ)といいますが、彼等も本音では「無理です」と言いたいのですが、クライアントからは早い納品と低コストを迫られ、押し切られているのが常でした。ですから何かトラブルが勃発すると、全員残業、全員終電になっていました。
しかし現在では、人員数にもっと余裕を持ってチームを組んだ方が、納期に間に合うし残業代も出ないという考え方が主流になっており、「残業ゼロを目指そう」という世の中の流れと相まって、エンジニアも残業無しで帰宅できるようになってきているのです。

また、エンジニアの転職先の選択肢も、年々幅広くなってきています。
先ほどの業務系の他にも、同じく過酷ではありますがソーシャル、ゲーム系、多くの求人があるweb系、アプリケーション開発など、ITの業種は増え続けています。合わせて、流通、技術、医療、不動産等、殆どの業界がシステム化の方向に進んでいるため、ITの業種の多様化は進む一方ですので、エンジニアのキャリアパスは従来よりも変化のあるものになって来ています。
これはありがたい傾向でもあり、エンジニアが社員として、またはフリーランスとして長く生きながらえ易くなった、ということです。
しかし逆に言えば、流れを読むことができ、次に需要が高まってくる技術をすばやく身に着けるセンスがなくてはいけないということです。また、エンジニアを長くやっていくには多くの方から引き合いがあった方か良いので、人脈を豊かに築ける人の方が順調にやっていけるのは間違いないです。

エンジニアはどんな人に向いているのか

IT業界の変遷は早いと言われています。5年10年違うと、新卒のエンジニアが学生時代に学んでくるコンピューター言語も全く違ってくるのです。その時の主流の言語を学んでいないと、社会に出てから即戦力になれないからです。
また、長いエンジニアのキャリアパスにおいて、技術の変化というのは必ずありますから、エンジニアは次の流れに備えて、常に新しい言語を学ばなければいけないという宿命があります。
それでは、どんな人がエンジニアに向いているのでしょうか。箇条書きにしてみました。
・長丁場にも耐えうる、粘り強い人
・トラブル勃発が続いても冷静になれる人
・感情的ではなく論理的な人
・チームプレーなので、自分の仕事がやばい時はやばいと、リーダーに正直に言える人

また、息の長いエンジニアになれる人の条件も出してみます。
・次の案件も依頼したくなるような、信頼がおける人
・新しいコンピューター言語も素早くものにできる柔軟な人
・クライアントとの交渉力がある人(プロマネの条件)
・チームメンバーを統率できる人(プロマネの条件)

おすすめの転職エージェント

エージェントにはそれぞれの強みがあるので、ここが良いエージェントだと単純にはいえません。しかし、エンジニアのキャリアパスへの心強いサポートがある会社という観点から、おすすめの転職エージェントを2つ挙げさせていただきます。

レバテックキャリア


・エンジニア、クリエーター専門のエージェントであること。
・技術的サポートがある。ヒカリエでの勉強会開催など。

▶▶ レバテックキャリア

geekly


・スタッフの専門知識が高い。
・エンジニアのキャリアプランのサポートが手厚い。

▶▶ Geekly(ギークリー)

まとめ

エンジニアに満足度の高かった案件について尋ねると、報酬額もさることながら最も回答として多いのは、「スキルが付いて嬉しかった」というものです。そういう案件に出会わせてくれるエージェントとなら、ずっと付き合っていきたいものですね。